日雇い派遣とは 年収500万円ってなに?

「空いた時間の収入の足しに」
「Wワークとして短期的に」
といった気持ちで派遣のお仕事に応募したら、派遣会社から『年収は500万円以上ありますか?』と確認された経験はありませんか?
「なんでお仕事の応募しただけなのに年収を確認されるの?」
「そもそも日雇い派遣って何?」
といった疑問にわかりやすく答えていきます。
労働者派遣法に関する指針の改正により追記しました(2020年12月)

【目次】 Q.日雇い派遣とは? Q.なぜ日雇い派遣が禁止されたのでしょうか? Q.なぜ年収500万円以上という条件を確認されるのでしょうか?他にも条件はありますか? Q.【NEW】派遣元・派遣先・派遣社員それぞれで気を付けるべきポイント!(2020年12月追記) Q.他にも例外として「日雇い派遣」が認められるケースはあるのでしょうか? |
Q.日雇い派遣とは?

■ 30日以内の派遣雇用契約
■ 1週間に20時間未満の労働
上記のいずれかに当てはまる場合は「日雇い派遣」という定義になり、派遣社員としてお仕事をすることが原則禁止されています。
後者の条件は聞いたことがない方もいるのではないでしょうか?
この条件は【31日以上の派遣雇用契約を結んで、実際に働く日が1日とか数日しかない】と言った脱法行為を防止するための条件なのです。
たまに、上記の条件しか説明していないブログやサイトの投稿もあるので注意が必要です。
(※1 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
Q.なぜ「日雇い派遣」が禁止されたのでしょうか?

これらの影響から派遣社員の雇用の安定を図る目的で日雇い派遣が禁止されることになりました。
非正規雇用派遣社員であっても雇用保険に加入して長く働けば、万が一契約を打ち切られても失業給付や再就職手当を受けることができます。
(※2 アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生した事象)

Q.なぜ年収500万円以上という条件を確認されるのでしょうか?他にも条件はありますか?

以下の①②に関しましては、お仕事の応募の時点である程度分かるので、③④の年収を確認されるケースが多いというわけです。
①60歳以上の方

※夜間学生、通信教育、資格学校、語学学校、教育訓練校、定時制、休学中等は含まれません

※ご自身のメインのお仕事の年収が500万円以上の方なら日雇い派遣可能です。
以下の【C】の場合は条件に当てはまりません。

④世帯年収が500万円以上の方(主たる生計者以外の方に限る)
※主たる生計者以外の方は、以下の二つを満たせば日雇い派遣が可能になります。
また、生計を一つにしている場合であれば別居世帯でも問題ありません。(夫の単身赴任等)
A:ご自身の年収が世帯年収合計の50%未満であること
B:世帯年収の合計が500万円以上であること

年収500万円以上の方であれば、雇用の不安定さが問題となることはあまりないだろうという政府の考え方が基準になっております。
しかし、
「年収500万円以上ある人が、わざわざ副業を希望するのか?」
「年収500万円未満の人の方が、少しでも収入の足しに副業をしたいのでは?」
と考える人が多いのではないでしょうか?
こういった現実があり、この法律もいつまで続くかは分からない状態ではあります。
あくまで現行の法律では、「派遣切り」の背景もあり、派遣労働者が短期・単発の業務を延々と繰り返す生活スタイル(雇用の不安定)になってしまうことを防止しているという政府の見解であることはご理解下さいませ。
Q.【NEW】派遣元・派遣先・派遣社員がそれぞれ気を付けるべきポイント!(2020年12月追記)

【派遣元が気を付けるべきポイント】
先ほどご説明いたしましたとおり
■ 30日以内の派遣雇用契約
■ 1週間に20時間未満の労働
のいずれかを満たしてしまうと日雇い派遣となるので、応募してきた派遣社員が上記例外対象者であるのかの確認をしなければなりません。
確認有無や履歴については「派遣元管理台帳」に記録しておきましょう。
日雇い派遣であったとしても、派遣社員の責に帰さない理由でのキャンセルは休業手当を支払う必要があります。
【派遣先が気を付けるべきポイント】
大型連休やイベントがある時等にスポット的、短期的に日雇い派遣を必要とする機会があると思われます。
ただし、本記事にある通り、日雇い派遣が可能な派遣社員は条件が限られています。
ほとんどの場合は、昼間学生や、主婦、高齢者が中心となりますので、事前に把握しておきましょう。
【派遣社員が気を付けるべきポイント】
例外対象者であることのできる証明書を用意しましょう。
①60歳以上
免許証やマイナンバーカード、住民票等、公的に証明のできる書類を用意しましょう。
②昼間学生の方
学生証の用意をしましょう。
③生業年収500万円以上の方
④世帯年収500万円以上の方
昨年度のご自身(④の場合は主たる生計者の分も)の収入を証明できる以下の書類を用意しましょう。
・「源泉徴収票」(毎年12月~1月頃に会社から発行されます)
・「課税(非課税)証明書」(毎年6月頃に1月1日時点の住所地の市区町村で発行できます)
・「確定申告書」 ( 税務署で受理印が押されたものに限ります)
・「所得証明書」(毎年6月頃に1月1日時点の住所地の市区町村で発行できます)
Q.他にも例外として「日雇い派遣」が認められるケースはあるのでしょうか?
A.ございます。
以下に当てはまる業務である場合は、日雇い労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないとして、年齢や年収に関わらず「日雇い派遣」として働くことができます。
■ 情報処理システム関係
■ 機械設計関係
■ 機器操作関係
■ 通訳、翻訳、速記関係
■ 秘書関係
■ ファイリング関係
■ 調査関係
■ 財務関係
■ 貿易関係
■ デモンストレーション関係
■ 添乗関係
■ 受付・案内関係
■ 研究開発関係
■ 事業の実施体制の企画、立案関係
■ 書籍等の制作・編集関係
■ 広告デザイン関係
■ OAインストラクション関係
■ セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係
ただし、それぞれの業務には条件があります。
いずれも専門的な知識、技術、経験を要する業務が大前提となります。
例① 「機器操作関係」
分かりやすく例えると、【オフィスでPC等を操作する業務】があてはまりますが、ソフトウエア操作に関する専門的技術を活用して、入力・集計・グラフ化等の作業を一体として行うものであり、迅速・的確な操作に習熟を要するものに限られます。
よって、以下のような業務は認められません。
・指定のフォーマットにデータ入力していくだけの業務
・編集、加工、レイアウト、演算処理、グラフ化、集計・統計・分析等をしない業務
・ファクシミリ、シュレッダー、コピー機、電話機、スキャナー、複合機等の操作例② 「ファイリング関係」
書類やデータを、総合的・統計的な分類基準を作成した上で、その基準に沿って整理・管理していく業務を指します。
よって以下のような業務は認められません。
・決められたルール通りに書類をファイリング、データ整理をするだけの業務
「日雇い派遣」について理解を深めることは出来ましたでしょうか?
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ライター:カロテン君
(2012年入社 人事部広報担当)
ドムに関わる全ての皆様に有益な情報提供を発信すべく日々奮闘中!
★派遣元責任者・職業紹介責任者 受講済★
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カロテンは好物の大葉の栄養素から命名